「膝が痛くて床から立ち上がるのがつらい。」「起き上がりの時にふらついてしまう。」など理由は様々ですが、「そろそろベッドが必要かな?」と思うことはありませんか?
介護用のベッド、もちろん購入しても良いのですが、介護保険を利用してレンタルすることができるのをご存知ですか?
この記事では、介護用ベッドを購入した場合とレンタルした場合、それぞれのメリット・デメリット、介護保険を利用してレンタルする場合の流れなどについてお伝えします。
介護ベッドを利用するには
介護ベッドを利用するには、購入するかレンタルするかの2通りの方法があります。
結論から言うと、たいていの方にとっては介護保険を利用したレンタルがお得です。
ここでは、まず介護ベッドを利用するための3つのパターンについて解説します。
介護保険でレンタルする
介護認定を受けて一定条件を満たしていれば、介護保険を利用してレンタル料金の原則1割、多くても3割を支払い、介護ベッドをレンタルすることができます。この割合は所得に応じて定められています。
また、定期的に点検・修理に来てくれるので安心です。交換もしてくれるので、状態に応じてベッドの種類を変更することもできます。
自分で大きな家具を処分する手間もありませんし、ベッドの下に敷いている敷物を交換したいといった時にもありがたいサービスです。
ただし、要介護認定から業者の選定、契約など一連の手続きを必要とすることと、定期的な人の出入りがあるので、煩わしさは感じるかもしれません。
自費でレンタルする
ケガなどで一時的にベッドを必要とする人におすすめの方法です。スピーディーに介護ベッドを利用することができ、返却の時期も自由に決めることができます。
購入前のお試しとしても良いでしょう。
購入する
身体の状態がしばらくは変わらないと見込まれ、誰も使っていない新品のベッドを利用したい人は購入も良いかもしれません。種類も自由に選ぶことができますし、汚れや傷を気にせず使うことができます。
ただし、返品や交換ができず、修理も自分で依頼しなければなりません。また、処分の際は回収を依頼する費用や手間がかかります。
ちなみに、介護保険でレンタルできるのであれば購入もできそうなものですが、残念ながら介護保険を利用した購入はできないことになっています。
介護保険を利用して介護ベッドをレンタルする場合の流れ
介護保険を利用して介護ベッドをレンタルする流れは以下の通りです。
1.担当のケアマネジャーに相談
2.ケアプランを作成し、介護ベッドをレンタルする会社を選定
3.レンタル会社の福祉用具専門相談員が利用者宅を訪問、介護ベッドの種類を選定
4.レンタル会社と契約締結
6.レンタルサービス開始
必要性に応じて、医師、看護師、理学療法士等にもどのような介護ベッドを使えば良いか意見をもらい、慎重に選定しましょう。
介護保険を利用した介護ベッドのレンタルにあたっては、要介護2~5の介護認定を受けていることが必要です。ただし、要支援や要介護1であっても、状態によって例外的に給付が認められることがあります。必要があれば、ケアマネジャーに相談してみましょう。
介護認定に関する詳しい説明は別の記事でご紹介します。
介護ベッドの価格相場
では、購入、レンタル、それぞれの価格帯をみていきましょう。
尚、ここではベッド単体での料金を比較しますが、通常はサイドレールやベッドマットを併せて利用することが多いので、実際にはその分の料金も必要となります。
購入した場合
完全な自費になるので、一般的な買い物をするときと同じイメージです。おおよそ15万円台~30万円台といったところですが、配送や取り付け、処分する際の料金が加わります。
自費でレンタルした場合
1ヶ月単位でのレンタルとなり、月々約7000円台~1万3000円の料金がかかります。高齢者の介護用にと言うよりは、ケガなどの突発的な理由で一時的に必要となる場合におすすめです。
介護保険でレンタルした場合
介護保険を利用すれば、レンタル料金のうち1~3割の自己負担により介護ベッドを利用することができます。例えば、レンタル料9,000円/月のベッドの場合、実質的には900~2,700円/月の支払いとなります。
尚、自己負担の割合が1~3割のいずれになるかは、「合計所得金額」と「65歳以上の方の世帯人数」によって決まります。
ただ、2~3割というと現役並みの所得の方になるので、ほとんどの方は1割に該当するのではないでしょうか。
介護認定の結果が出るときに負担割合も決定され、「介護保険被保険者証」と一緒に「介護保険負担割合証」も郵送されてくるので確認しましょう。
また、不動産の売買など大きなお金の動きがあった場合には、負担割合も変更する可能性があります。今までと同じサービスを利用していても2~3倍の料金となるので、場合によってはサービスの見直しが必要となるかもしれません。変更した場合は、速やかにケアマネジャーに伝えましょう。
差額の理由
介護ベッドは、ベッドの材質や機能により価格が違ってきます。
特に、ポイントは介護ベッドに備わっている電動モーターです。
介護ベッドは付属のリモコンを使って電動モーターを作動させることで、ベッドの高さや座面の角度を変え、利用者の姿勢保持をサポートします。
モーターの数によって、ベッドの高さだけが上がるのか、頭側や脚側も上がるのか、といったように使える機能が変わるため、モーター数が多い方が価格も高くなります。
介護ベッドのメリット
では、そもそも介護ベッドを利用すると、どんなメリットがあるのでしょうか?
日常の動作をサポートしてくれる
背揚げ機能では食事や読書の際の姿勢保持サポートを、脚上げ機能では浮腫軽減をはかることができます。
また、自力では起き上がりや立ち上がりが難しい方も、スムーズに姿勢を変えることができます。
動作への億劫さが軽減されれば、ベッドから離れる頻度を増やす効果が期待できますし、車椅子への移乗も安定したものにすることができるでしょう。
褥瘡(じょくそう)を予防してくれる
寝たきりの方に多く見られる症状に「褥瘡(床ずれ)」があります。
仙骨(臀部の上のあたり)や後頭部、踵など、骨が突き出ているところに体圧がかかり続け、血流が悪くなってしまうのが原因です。
摩擦やずれなどの刺激が重なると褥瘡になるリスクは高まり、重症の場合には皮下組織が壊死したり、感染症になったりしてしまいます。
通常は介護者が一定時間毎に体位を変え、適切な位置にクッションをあてる必要がありますが、付属のマットを利用することで、体圧を分散させ清潔を保つことができます。
腰痛予防
介護では介護者が腰をかがめる動作が多いため、腰を痛めた経験のある方も多いのではないでしょうか。ご家族とご本人に身長差がある場合は特に注意が必要です。
介護ベッドを利用すれば、座面の高さを変えることが出来るため、オムツ交換のときなど、介護する側の腰への負担が格段に軽減されます。
入院中のベッドの向きも大切
補足として、もしも現在ご本人が入院しているのであれば、ベッドの向きにも配慮が必要です。
家の間取りが、ベッドの頭側と足側を自由に決められる環境であれば問題ありません。ただ、どちらかに固定されてしまう場合は、その旨を病院側に伝えましょう。院内の状況によりますが、自宅と同じベッドの向きに整えて対応してくれる場合が多いです。
右側から昇降するのと、左側から昇降するのとでは、身体の動かし方が違います。特にご本人が高齢の場合、一度身についた習慣を変えるのには時間がかかります。できるだけ、院内でも帰宅後と同じ環境での生活を送れるように検討しましょう。
まとめ
今回は、介護ベッドの購入にあたって知っておいてほしいことについて解説しました。
・介護保険を利用してベッドをレンタルする場合の流れ
・介護ベッドの相場価格
・介護ベッドのメリット
・入院中のベッドの向き
要介護認定がおりる身体の状態で、ベッドが必要な状況であれば、介護保険による介護ベッド利用がおすすめです。
介護が必要になった方が住み慣れた自宅での生活を続けていくためには、負担を軽減する環境作りが不可欠。
また、一度決めても、身体の状態に応じて、見直しも必要となります。
介護は100人100通り。自分に合った方法で、そのときに応じた適切な介護用ベッドを選んでいただければと思います。
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